ワインの裏ラベルに書いてある酸化防止剤(亜硫酸塩)が気になる人は多いでしょう。
もちろん酸化を防止するため、それから微生物の繁殖を抑えるために、亜硫酸塩が使用されています。
最近は無添加やオーガニックのいろんな食品が販売されているので、
添加物である酸化防止剤 (亜硫酸塩)は大丈夫かなと不安に思う人もいると思います。
それに亜硫酸塩という名前は、なかなかイカツイので気になりますよね。
亜硫酸塩にアレルギーがない人は問題なし
でも、大丈夫ですよ。
酸化防止剤で気を付けることは、アレルギーの有無だけです。
亜硫酸塩にアレルギーがあれば、頭痛がしたり、下痢をするかもしれません。
ワインを飲むと頭痛や下痢をするが、他のお酒なら大丈夫な人は病院で相談してみると良いでしょう。実際にアナフィラキシーショックの症例が確認されているので、亜硫酸塩が原因ではないかではなく、病院でチェックをした方がいいと思います。亜硫酸塩はワイン以外のいろんな食品にも使われているので、ワインを排除すればOKとはなりません。
アレルギーがない人については、過剰摂取をしない限り、亜硫酸塩が体に悪さをすることはありません。また、亜硫酸塩はワインに含まれるアントシアニンなどと結合して無害になり、添加された量はほとんど残りません。
亜硫酸塩はワインの製造過程で自然に生成される
わざわざ亜硝酸塩を添加しなくても、ブドウが発酵する過程で自然に生成されます。
ですから、亜硫酸塩がゼロのワインは存在しません。
私は低濃度でもアレルギー反応が出てしまう人、或いは出てしまうかもと心配な人には、無添加ワインでもオススメしません。ごく微量でも反応してしまう人がいたら?と思うと怖いです。
お前が紹介してる無添加ワインでアナフィラキシーが出たと言われても困ります。
ワインの悪酔い、頭痛、下痢は酸化防止剤のせい?
酸化防止剤 (亜硫酸塩)と裏ラベルに記載されていますよね。
亜硫酸塩と記載されてますが、実際は二酸化硫黄 (SO2)です。
海外の資料では、硫黄 (sulphur)や二酸化硫黄 (SO2)という表記が一般的です。
亜硫酸塩はSO2が水に溶けている状態のことを言います。
ワインの悪酔いは酸化防止剤のせい?
そもそも悪酔いとは、どういう状態のことを言うのでしょうか。
暴れるとか?
ワインに限らず、安いお酒は悪酔いするという話をよく聞きます。
大五郎は悪酔いする。
トリスは悪酔いする。
ちなみに、私はどちらのお酒でも悪酔いしたことはありません。
悪酔いとは、二日酔いがひどいとか、著しく体調が悪くなることだと思います。
はっきり言っておきたいのですが、悪酔いの原因は飲みすぎですよ。
プロフィールのページにサクッとBar busuinessと書いてますが、実際はみなさんが言うスナックを共同経営しています。バーやスナックという名称は、好きに付けられるものです。
悪酔いするお客さんのほとんどは飲み過ぎです。
酸化防止剤 (亜硫酸塩) に悪酔いの要素はあるか
二日酔いの原因は飲みすぎが直接的な原因です。
しかし、なぜ飲みすぎると二日酔いになるのかは曖昧です。
長らく二日酔いの原因は、アセトアルデビドの血中濃度が高いからと言われてきました。
要はアセトアルデビドが分解できてないからという説です。
しかし、実はそうでもないらしいです。
二日酔い状態でも、血中にアセトアルデビドが検出されるのは稀だそうです。
ただ、ALDH2というアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人は、
二日酔いになりやすいことが報告されています。
いすれにしても、ワインの酸化防止剤 (亜硫酸塩)とは関係がなさそうです。
ワインの酸化防止剤は頭痛になる?
私はワインを飲んで頭痛が起こったことはありません。
他のお酒でもありません。
頭痛が起こる人のほとんどは、いわゆるお酒が弱い人です。
ですから、どのお酒を飲んでも頭痛が起こります。
前述の二日酔いが早く起こる人です。
これらの人に水割りを飲ませると、実はけっこう飲めたりするものです。
ワインはアルコール度数がビールより高いので、
チェイサーを飲みながら血中のアルコール濃度を下げることが重要です。
ワインに頭痛の要素はありそうだが、酸化防止剤とは限らない
ワインを飲むと頭痛が起こるが、他のお酒では頭痛は起こらない。
これならワインに原因があるかもしれません。
前述のとおり、病院でアレルギーのチェックをしてハッキリさせた方がいいです。
赤ワインに含まれるポリフェノールやヒスタミンには、血管を拡張させる作用があります。
これらが、頭痛の原因になることがありますが、亜硫酸塩とは関係ありません。
下痢は酸化防止剤が原因?
お酒を飲んで起こる下痢の原因は、浸透圧性の下痢と言われています。
アルコールの摂取によって、水と電解質のバランスが悪くなり、下痢になってしまいます。
亜硫酸塩によって引き起こされる訳ではなさそうです。
ワインだけではなく、アルコールが腸内環境には良くないのです。
とにかく、飲み過ぎには注意してくださいね。
よく似た名前の亜硝酸塩
名前は酸化防止剤 (亜硫酸塩)と似てますが、まったくの別物でハムやソーセージに含まれます。
ポリフェノールやヒスタミンと同じように血管拡張作用があり、
亜硝酸塩も頭痛の原因になり得ます。
困ったことにワインと相性が良さそうな食品です。
ワインの飲み過ぎとこれらの食べ物の食べ過ぎコンボは注意したいですね。
酸化防止剤はオーガニックワインでも使っている
メスタというオーガニックのスペインワインがあります。
ラベルもきれいで、話題性もあるワインです。
口コミにオーガニックなのに酸化防止剤を使っていて残念というコメントがあります。
オーガニックというのは栽培方法で、本来は無添加と異なるカテゴリーの話です。
消費者はこの辺りをごちゃ混ぜにしてはいけないですね。
ただ、オーガニックのぶどうを使っていても、その後の製造でいろんなものを入れられると意味がありません。ですから、EUではオーガニックワインに亜硫酸塩を添加できる量を規定しています。
オーガニックワインの酸化防止剤 EU基準
EUでは2012年にオーガニックワインが定義されました。
New EU rules for ‘Organic Wine’ agreed
日本語のラベルでは亜硫酸塩と書いてますが、
海外では硫黄 (sulphur)や二酸化硫黄 (SO2)とするのが一般的です。
EUの規定にはsulphur (硫黄) と記載してあります。
参考資料
COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) No 203/2012
EU オーガニックワインで添加できる二酸化硫黄 (SO2)の量
規定では赤ワインは、100mg/Lとなっています。
ただし、残糖量が2g/lを超える赤ワインについては、120mg/Lになります。
白ワインやロゼは150mg/l、残糖量が2g/lを超えるものは170mg/Lです。
IFORM Organics internationalの資料が見やすいので紹介します。
19ページの表が二酸化硫黄 (SO2)の規定です。
EU RULES FOR ORGANIC WINE PRODUCTION
このようにオーガニックワインでも規定内であれば酸化防止剤を添加できます。
また、ワインで摂取する量の亜硫酸塩で体に異常をきたすことはありません。
できるだけ摂取したくないのなら、EU基準のオーガニックワインを選ぶのもひとつの方法です。
日本の亜硫酸塩の基準はどうか
ワインだけではなく、いろんな食品に亜硫酸塩が使われています。
日本では厚生労働省が基準を制定して管理しています。
参考:厚生労働省 食品添加物の指定、使用基準の改正等について
例えば、ワインは0.35g/kg以上、かんぴょうは5.0g/kg以上、干しぶどうは1.5g/kg以上、亜硫酸塩が残存してはならないとされています。ワインはなかなか厳しいですね。
このようにいろんな食品に使われているので、しつこいようですが気になる方は病院でチェックした方がいいと思います。
酸化防止剤無添加ワインとテイスティング
いろんなメーカーから、酸化防止剤無添加ワインが発売されています。
私は健康志向を意識したマーケティングと思っていて、無添加ワインを選んで飲もうとは思ってません。過剰摂取をすれば問題だと思いますが、ワインに含まれてる量を摂取しても問題ないと考えています。
それに亜硫酸塩を排除すると、選択の幅が極端に狭くなります。
いろんなワインを楽しむことができなくなるし、お店でお客さんがモエ・エ・シャンドンを開けてくれても飲めません。ワイン大好き人間としては、ちょっと辛いですね。アレルギーがないから、こんなことを言えるのは承知しています。
でも、私の考え方とは関係なく需要はあります。
それにワインには変わらないので、ワイン大好き人間としては無添加ワインも試してみたい。
少しずつ無添加ワインのテイスティングもしていきたいなと思います。
無添加ワインはどうやって作ってるのか
亜硫酸塩は酸化防止と微生物の繁殖を抑えるために使用されています。
無添加にするには、他の製法で亜硫酸塩と同じ効果を出さないといけませんよね。
どういう製法なのだろう。
よく言われてるのが、加熱、ろ過、窒素ガスです。
まだメルシャンの酸化防止無添加赤ワインしか飲んでませんが、メルシャンのサイトには製法のことは書いてなかったです。すべてのメーカーが同じ製法とは限らないし、こうだとも言えないなと思っています。
メルシャン 酸化防止剤無添加赤ワイン
500円前後で売っているワインです。
確かに飲みやすいワインでしたが、独特の香りがあって、甘みが突出しています。
ワインを飲み慣れていな人やワインデビューの人にはいいかもしれません。
裏ラベルにはミディアムとフルの間にチェック。
ボディは人によってかなり変わるので、なんとも言えないところですが、私はう~んという感じがしましたね。申し訳ないのですが、裏ラベル記載のチャートとは異なる結果になりました。
ワインと酸化防止剤 (亜硫酸塩) のまとめ
- 酸化防止と微生物の繁殖を抑えるために添加している
- 過剰摂取しない限り問題はない
- アレルギーや化学物質過敏症の人は要注意
- 亜硫酸塩無添加=ワイン中の亜硫酸塩ゼロとは限らない
- ヨーロッパのオーガニックワインにも少量だが添加されている
- 気になる人はオーガニックを選ぶのもよい
- 日本でも厚生労働省によって基準が設けられている
- 悪酔いの原因はほとんどが飲み過ぎ
- ワインに頭痛の要因はあるが、亜硫酸塩とは限らない
無添加やオーガニックなど、選択肢が増えるのは良いことだと思います。
過剰摂取しなければ問題ないので、いろんなワインを楽しみたければ、アレルギーの有無に注意しつつ、あまり過敏にならずに飲んでもいいのかなと思います。